万有引力の法則
こういうじれったいの書きたいです。双方のヴァージョンで心理描写に力を入れた、読んでてにまにましちゃうようなの。ちょっとでもにまにましていただけましたら拍手から教えてもらえるとうれしい&完成させる励みになります…!
「き、貴様は付き合っている女は、いるのか?」
いつもはっきりとした物言いをする彼女らしくない台詞に思わず顔を上げた。
それになんだその質問は。
「いや別に今は……」
は? 顔真っ赤で、下向いてて、やべえ、かわいい。いや、かわいい…? おかしいだろおいおい俺しっかりしろ。
そりゃあこの人が整った顔立ちをしているのは飽きるほど一緒にいるのだからさんざん目にしている。ファンクラブまであるしな。客観的に見ても可愛らしくてお人形さんみてえで綺麗に整った顔立ちなんだろう。
けれど、羞じらっている様子は新鮮で。
見慣れなさに目をしばたいてしまうほど。
まさか。はっとする。さっきの質問はその手のさぐりを入れてきたのか、つまり――
──告白の前触れ。
(んなことあるわけねェだろが)
に、してはさっきから心臓がうるさい。やけに頬が火照るのは酒のせいだそうに違いない。これは、あれか。なんとも思っていなかった相手に好きだといわれて意識しはじめて結局は好きになってしまうパターンか。
「……いやいやいや、ねェから」
大体、好きだなんてひとことも告げられていない。どんだけ早合点なんだよ俺は。あぶねえあぶねえ、とんだ勘違い野郎になるところだったぜ、この大前田希千代様としたことが。
ふっと自嘲じみつつ格好つけて苦み走った大人の男を演じてみたものの、隊長はまったく気にした様子もなく、いきなり勢いよく前のめりになる。えーとあのどうしました砕蜂隊長、本当に。