ゆっくり手をつないで恋愛する。


平子さんはどこまでも猿柿さんを溺愛してればよいと思います。仮面ちゃんは疑似家族的ですが、平子さんとひよ里はそのなかでも特に兄妹ぽい。年の離れたお兄ちゃんとやんちゃっこな妹ちゃん。
でも本当のあにいもうととはちょっと違う感じが…あくまで『妹的』な存在。恋愛絡みじゃなくても、平子さんの溺愛のしかたはわかりやすいようでどこかわかりにくい。

自分が疑似家族もの大好きなので、仮面ちゃんは平ひよ含め、あの団体さん自体がすごく好きです。


ひよ里は平子に愛されてるのが昔からデフォなのであんまり特別に感じてない。そのへんの感情がまだ幼いのもかわいいです。というか、平子がいたら初恋とかする必要がなかったんじゃないかと。個人的にはひよ里の初恋の相手は平子さんじゃなかったと思ってます。

そういうの飛び越して、いちばんそばにいてくれるの当たり前、一等近くで文句いいながら気に掛けてくれるのが日常。他にかわりがいない、かけがえのない相手。長い長い年月をいっしょに積み重ねてきた相手。


あれだけ無条件で大事にされてて、けれどひよ里も頭と勘のいい子なのでそこまで無自覚じゃない。だけどあまりに当たり前すぎて平子に対する感情自体もある意味・恋愛以上だから今さらきっかけがつかめない。 

むしろ平子さんがこのままでええんかなァって感じてるといい。ひよ里が成長するためにはちゃんと恋愛した方がええんやろな、そんとき相手は俺とちゃうくて。そのへんがおにいやん的。でも手放せない。


そんな経緯を経て、あたらめて告白する平ひよもかわいいな…!ふたりでお互いにきちんと告白し合って(好きです。すきでした。付き合うてくださいって)、ちょっとそっけない感じで、内心照れまくり焦りまくりで、どきどきで、でもやっとはじまり。

「あの、猿柿さん?」「なんや」「これからも、よろしくな」「こっちの台詞や、ハゲ真子」

今までずっと一緒にいた。これからもずっと一緒にいる。



ところで平子さんはひとりのとき、どっこも見てないような表情の消えた顔をしてる気がします。過去篇のときはきっともうちょっとぼーっとしてて、いろいろ考えてて、まだ余裕があるんだけど現在は苦みを知った分、見たら怖くなるようなお顔をしてるんじゃないかと。

ひよは偶然目にしてもあえて何もいわないか、普段通りに接するか「なんて顔しとんのや、ボケ。死んだ目ェしよって」

「……オマエは」平子さんひよ里の頬に触れて、目尻を親指でぬぐって、
「いっつも生きとるなァ。死んどるくせにちゃんと生きとんのやな」


なんかこう、平子さんにとってひよこは鮮やかな存在だといいたかったらしいです。たとえ世界が灰色でもひよだけは鮮明で、嘘で偽物ででたらめだらけでもこの子だけは違うって。