あのひとの書いた天使心中の話を読んで絶対敵わないと思ったことを思い出した。あのひと風に表現するなら、いちどきに読めなくて数日かけて読んだ。一年前のことだ。はじめてあのひとの小説にきちんとした感想を告げたのは二次だった。陵辱もの。僕が少し前からサイトの日記で読みたいと大騒ぎしていたせいで、多分書いてくれたもの。いつものようにテンション高くお礼をいいながら、ずっと考えていた。くやしかったくやしかったくやしかった。なんで僕が書いたんじゃないんだろう、と思った。どうして僕の書けなかったものを書けたひとがいるんだろうと思った。何度読み返したかなんてもう覚えていない。単純にリスペクトするだけの書き手ならまだよかった。影響を受けました、なんてかわいらしくいえる相手ならよかった。ある部分が重なっていて、なのにある部分がずれていて、それがあのひとには書けて僕には一生かかっても書けないものがある理由だから、あのひとになれない僕はただ、キーボードを叩くしかない。