波打ち際で水母が死んでいた誰もいない夏の終わりの海とか。蝉の声が降りそそぐ廃線を脱水症状気味になりながら歩いたことだとか。いりびたった図書館の本と21℃で効かせたクーラーのかすかに埃臭い匂いや、机の落書き、裏手にまわるとある林の青臭い緑、どこかの誰かの朽ちた墓標にペットボトルの麦茶をそそいで名前を読みとろうとしたこと。一度も手をつながなかった。覚えているのはノースリーブワンピースからのぞいた日焼けしていない腕の内側にある虫さされの跡。にきびに悩んでいた頬に汗で張りついた黒い髪の濡れた質感。弱視の目をふせるときの表情。そのころよく飲んでいた今は製造中止になった清涼飲料水のラベル。猫の死体を埋めたこと。盛り上がった土のうえに、ふたりとも覚えたてだった煙草を線香代わりにつきさしたこと。どこかへ行きたかったこと。どこへも行けなかったこと。



オリジめも。めもなので書きかけ。

http://d.hatena.ne.jp/sasakimomo/20050621



拍手、押してくださった方ありがとうございます…!すごくはげみになります。ああひとりじゃないんだなって…(涙)