大槻ケンヂ『神菜、頭をよくしてあげよう』


神菜、頭をよくしてあげよう (角川文庫)

神菜、頭をよくしてあげよう (角川文庫)


元・筋肉少女隊、現・特撮(後記・筋少に復帰したそうです)のボーカル、大槻ケンヂのエッセイ。表紙は羽海野チカ。わたし、このひとの小説とエッセイが大好きなのです。小説は※『ステーシー』と※『くるぐる使い』が好きです。

で、このエッセイ、そんなことまで書くか?というまでに精神的ストリッパーでありサービスマン、ときにはほろりと物悲しいし、ときにはスーパーニコニコしちゃうし、のほほんとしちゃうし、UFO関連や格闘技やトンデモな話は基本的に大好きでありながらも懐疑派(このスタンスが一番ものごとをたのしめると僕は思う)である大槻ケンヂがなんともいい塩梅なのです。

80年代後半、まだゴシックロリータという言葉がなかったころ、遠征先の雪深い街で出会った少女の話がすごくよいのです。彼女に目をとめた大槻が、必死に車をとめ、声をかけるところ。


「君さ…そのかっこう、何て言うの?」(略)
「これ?」
「そう、そのかっこ、なんかジャンルあるの? パンク? 何?」
 彼女は自分の全身を見回してから、言った。
「私は、好きなかっこうをしてるだけ」
「そうか、いいね、最高だ」
「好きな服を着てるだけよ」
「いいね、いいよ。それが一番だよ。ずっとそれでいてほしいよ。じゃ、またいつか」
(神菜、頭をよくしてあげよう 120ページから引用)


なんかね、よいのですよ。


※『ステーシー』(ゾンビ化した少女をチェーンソーとかでひたすら切り刻んで再殺する話)
※『くるぐる使い』(エヴァ綾波レイが読んでた本)