寒いときにはね。
急に寒くなってまいりましたねびっくりした…。今朝方慌ててコートを取り出しました。さむさむ。明日はヒートテックを買いにいきます。
砕蜂は冷え性だけど昔からの鍛錬と訓練で寒いのは平気だといい。逆に副隊長がおくるみで乳母日傘のぼっちゃんなため、ちょっとの気温の変化にも大騒ぎしてたらいいなぁ。寒いの苦手だと萌える。きゅんきゅん。
そんな二番隊の初冬は、
「……なんだ貴様、そのようにぶるぶると小刻みにふるえおって。巨体が見苦しい」
「っつーかよく平気でいられますね隊長……さむっ、寒すぎッスよこれ。ああっ、そうだなんで冷暖房完備なこの詰所がこんなに寒いんスか!」
「あのようなものいらぬ。これしきの気温の変化に耐えきれぬようでは隠密機動、第二分隊隊長として――」
「へえへえ。説教はあとで聞きますから、とりあえず暖房つけさせてもらいますよ……っとおお!?」
「ふん。たった今からこのりもこん、というのだったな。操作機は私が持つ。こうして」
「……はぁ? つかそれ買ったの俺……」
「帯に挟んでおくこととしよう。大前田、貴様がこの私の隙をつき、奪うことができたならば、望み通り暖房ぼかぼかにしてやろうではないか」
「……いやいやいやそれ無理でしょ無茶ぶりにもほどがあんでしょうが! 隊長の疾さって隊長格一ッスよね!?」
「やる前からあきらめるのか? 情けない男だ」
「そういう問題じゃ……くそっ、わかりましたわかりましたって。やりますよ。今日から隊長の腰狙って本気でいきますからね俺」
「うむ。貴様のような鈍い男にはよい鍛錬になるだろう」
それからしばらくして『二番隊の副隊長が砕蜂隊長の腰だか尻だかを狙ってる』という噂が流れたとか。
それを聞いた女性死神協会では、
「なんでそういった難易度高めの設定にしてしまうのですか!」
「まぁ、構われたいって願望は叶ったし、いいんじゃない? バカ大前田はちょっとかわいそうだけど。あ、七緒、そこのお茶とって」
「それくらいご自分でなさってください、乱菊さん。はい、熱いのでお気をつけて」
「だよねー、さっき会ったらちーちゃんすごい息ぜーぜーでちょっと痩せた感じだったもん」
「……そういえば、ちゃんとご褒美は用意してらっしゃいますか?」
「ご褒美?」
「なんだ、涅、それは」
「目標を達成した者には『ご褒美』が与えられるとマユリ様がおっしゃっておりました」
「……ごほうび、ですか……」
「『私のボタンも押・し・て(はぁと)なんてどう?』
「もうっ、後から来て話を聞いてればみなさんもっと真面目に考え……あれ? 砕蜂隊長?」
「勇音おそーい。で、砕蜂隊長は?」
「今、もんのすごい速さで帰っちゃった」
「……もしや……」
「実践する気でいらっしゃるのですね」
そこからが真の受難です。がんばれ副隊長…!