希と日番谷


「あいつの足でぐりぐり踏まれんのも、結構オツなもんかもしれませんよ。松本の足、すげえ綺麗スよ。あんだけ目の保養になる曲線美ってのは、俺、他じゃあまず見たことねえスね。長えし適度に筋肉ついてるし、膝もちゃんと手入れしてっからすべすべだし、引き締まったふくらはぎから細い足首までの線なんて芸術的スよ」
「なんで……なんで……」
 ぷるぷると握った拳と肩をふるわせながら、顔をふせた日番谷はいう。心なしか涙目になって大前田を見上げてにらみつけ、とうとう怒鳴った。
「なんでお前がそんなこと知ってんだよ!」
「たしか前にも、松本関係で俺に同じこといった気がするんスけど、日番谷隊長」
「そんなことはどうでもいい!」


 むきになるとさすがの天才児といえども――いや、いくら隊長格とはいえ天才『児』なのかということに今さら気づく――子どもっぽい素顔がのぞいて微笑ましい。


 大前田は自分より小さな相手も幼子も好きだから、思わず脇の下に手を入れて抱き上げ、高いたかーいをしてやったり、ふわふわの銀髪をくしゃくしゃになでて菓子類を与えたくなる。日番谷は十三番隊隊長に常々後者をされているせいか、いつだったか小さな菓子を渡したときにはガキ扱いするなとむっとしていたのだけど、それすらかわいらしいのは隊長という職務が与える印象との落差か、はたまた日番谷自体がそもそもかわいらしい存在なのか。


 ついつい構いたくなるのになかなかどうしてかわいがらせてくれないのは、どこぞの二番隊隊長にも似ている。



十番隊ツートップと二番隊主従の絡みが大好きです…!日番谷は、なんで大前田相手だといつも怒鳴ってムキになってんだ俺…って影で落ちこめばいいな。