ロング、ロング、ア・ゴウ


百年前は仮面、藍染市丸東仙、そして喜助さんと夜一様の運命が変わったときでもありますが、その横であまり誰にも注目されなかったのが夜一様の側近であった砕蜂じゃないかと思います。


砕蜂が百年前夜一様がいなくなって深い絶望を感じたことは原作様で描写されてますが、周りの反応はどうだったんだろう。この時点では多分、状況がわからず周囲もバタバタしていて彼女のことを顧みなかったんじゃないかと推測され。


で、いったん喜助さんたちが逃亡、夜一様も地位も隠密機動も投げうってそれを助け姿をくらました――ということが確定になった段階になってからはじめて(短い間だったと推測されますが)『四楓院夜一の側近』であった砕蜂の存在に中央四十六室も注目したのではないかと。


あらためて考えてみると、この時点で砕蜂に対する取り調べがあって当たり前なんですよね。


護衛軍の一員で、夜一様はきっと女の子同士ってこともあって格別にかわいがっていた(もしくは周囲がそう感じていた)としても間違いなく、ならば当然、彼女の行き場所は知っているだろうお前も逃亡の手引きをしたのだろうと。


取り調べに対して「知らぬ」「存ぜぬ」をくりかえせざるを得ない砕蜂がつらいです…。言葉にするたびに、怒りと悲しみが湧き上がってきたんだろうなぁ…。


そしてそうこうしているうちに、二番隊と隠密機動のトップがいなくなってしまって、各隊だって抜けが多く被害は甚大で、そこに卍解ができ、なおかつ隠密機動――刑軍のなかで生きてきた少女がいたとしたら。


これも私的見解というか妄想なんですが、この時点で砕蜂卍解はかなり未完成のものだったりしないかな、と。下手をすればいまだに未完成なんじゃないか(あの使いづらさはあきらかに実戦向きじゃない)。


そんな状態で、二番隊=隠密機動の頂点に立つことを求められた少女というのは…なんだろう、胸が痛いです。きっと砕蜂は夜一を捕える、この手でその首をはねてやる、そのために強くなる、という気持ちでいたんだろうけれど。



実は、戦ったとき砕蜂と夜一の間にはあれ以上の言葉はなかったんじゃないかと思ってます。砕蜂が思いを告げて泣いて、それで終わりでもいい。


私的解釈ですが、砕蜂はわかっちゃったんだと思う。夜一様は『違う』ってことが。


なんの躊躇もなく持ち得たものすべてを棄てることができて、悪びれなく目の前に現れ戦って、気遣いさえみせた。夜一様は『違う』んです。普通の人の目線で生きていない。


それに気づいてしまったから砕蜂が戦意を喪失したっていうのは妄想ワールドすぎるかな。


だからきっと和解したというよりも、砕蜂が気づいて、夜一様は変わらなくて、失われた時間を取り戻すように一緒にいてなんやかんやで騒いで(カラブリ参照)、表面上は元通りの仲良しでも砕蜂は確かに変わった。乗り越えたのか確かめられたのかわからないけれど、前に進むことはできた。


そんなことを書きたいなぁ。大前田視点で。