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彼女が雪のなかにいなさいというのでわたしは雪のなかにおり彼女が戻ってくるまでじっとしていろというので震えのとまらぬからだを制して身動きひとつとらぬようにしお腹がすいたら雪を食べればいいでしょうと笑うのでかじかみもう痛みも感じない指先で足もとの氷りを削り何度もこぼしながら口に運ぶのです。
涙が雪を溶かしますでしょうか、だらしなくくちびるの端からたれる唾液は少しでも凍りついていく顔をいまのままでとどめる役割を果たしますでしょうか、わたしはいつまでわたしのままでいられますでしょうか、それとも。
わたしがわたしでなくなったとき――そう感じたときこそようやく彼女はわたしを愛してくださるのでしょうか。
ああ、わかっているのですそんなことは決してありますまい。
「……ねえ、さま」
姉様が姉様になったときわたしはまだ七つの何もわからない子どもでありました。
わたしはわたしの欲望のためにあなたの御手を汚しておりますたおやかでしなやかでなめらかでよく手入れをされた控えめで形のよい爪をもつあなたの手で何度も何度も汚らわしい行為をさせ決してぬぐいされない記憶を残すのです。
その手はやがて赤子を抱くのでしょうこの世の幸福を一身にうけて産まれてくる玉のような子をいだくのでしょう。
そのときに思い出せばいい、一瞬でも。赤子のやわらかな産毛につつまれた頬に触れるのにほんのわずかでもためらいを覚えたとき、わたしの想いは成就するのです。
無垢なもの、無邪気なもの。
かつてはわたしもそのようなものでありました、できるものならずっとそのようなものでありたかった。
という感じの話を書いてます。オリジ百合、雪がモチーフのSM義理姉妹もの微グロ。タイトルは廃雪と書いてはいせつです。読んで字のごとしです。あ、でも小の方だから…!