こんなはずではなかったと大前田は考えている焦っている振り回した五形頭は正確に虚の胴体を打ち砕く。からだは昂揚する興奮する勝手に動く反応は鈍ってはいない生き残るための反射。必死は必ず死ぬと書くのに自分は死なぬようなんとか命を落とさぬよう必ず生き残って戻れるよう死力を尽くしているそしてどうか部下をひとりでも多く生存させるために文字通り死に物狂いになっている死ぬな死ぬな死ぬな畜生。




「こ……ろ、し、て」
 泥色に濁った両目からどろりと赤黒い血の涙を流していた子どものように丸い頬をつたっていくのが見てとれたごぼりごぼりと目に沁み鼻の奥を焼く油臭い液体と泡を吐き出す唇が耳の付け根まで一気に裂けたそれでも人の言葉のかたちに動いた確かにいった。
「殺して、くださ……い、副――隊長……、お、願い……です、俺を――、殺し……」
「できるわけねぇだろうが!」
 腹の底から怒鳴って斬魄刀を弾くなぜ意識がある。完全にあやつられて意志も思考も感覚すらなく自らが何をしているのかも判らずにいれば斬れたかもしれない目の前にいるのは部下の姿をした別のものだと。




こんな感じのものを書いてます。1日遅れですが大前田お誕生日おめでとう…!(三年連続で間に合わなかったよ!)