劇団ひとり『陰日向に咲く』


陰日向に咲く

陰日向に咲く


素直におもしろかった。劇団ひとり(=お笑い芸人の書いた本)という先入観はもちろんあったけれど、きっとそれを知らなくてもおもしろいと思った。
ちゃんと小説になってる文章、話のつくりかた、運び方。何人ものキャラクター――ホームレスに憧れる有能サラリーマン・二十歳のフリーターの女の子・アイドルヲタク・借金まみれのギャンブル狂い・売れない芸人をそれぞれ一人称で書き分け、なおかつ不自然じゃない。さすがひとりで劇団なだけはある。
それぞれの話が少しずつ絡み合い、ラストはああそうだったのか…と不覚にもじんとしてしまいました。あの紙面の使い方は反則だよ。