首飾り

首飾り

月の裏まで走っていけた

月の裏まで走っていけた


少年ふたりと少女ひとりの話。大自然のなか分校に通う三人は兄妹のように育つが、思春期をむかえたとき、かれらの関係のバランスは崩れていく。奔放で野生児のような少年に恋愛(と、よんでよいと思う)感情と性欲を抱き揺れる主人公、同じく彼に想いをよせる少女、やがて少女をいとおしく想うようになる主人公。各場面が読んで何年もたついまでも鮮やかにのこっている。


二冊目となる『月の裏まで走っていけた』以降、本が出たという話をきかない。非常に残念だ。月の〜もまた、青年ふたりと少女ひとりの話である。おそらく、作者は書きたいことを書ききったのかと思う。しかし、いつか、デビュー当時24歳だった雨森零の復活を切望する。